ニキビ跡に対するフラクショナルCO2レーザーとマイクロニードル高周波の比較
背景:フラクショナルCO2レーザー(AFL)は、ニキビ痕の治療における第一選択のエネルギーベースの治療法として確立されている。マイクロニードルラジオ波(MNRF)は、皮膚をフラクションで標的とする新たな治療法である。ニキビ痕に対するAFLとMNRFを直接比較した対照試験は、これまで実施されていない。本研究では、無作為割付による顔面分割試験、盲検評価、客観的測定、患者報告による結果を用いて、ニキビ跡に対するAFLとMNRFの治療を比較した。
方法:中程度から重度のニキビ跡を持つ15人の患者が対象とした。ベースラインでは、各患者に2つの試験部位が無作為に選ばれ、AFLまたはMNRFのいずれかによる単一治療を受けた。AFLとMNRFには標準化多層テクニックが適用され、まずニキビ跡のベースを、その後ニキビ跡全体を治療した。 評価項目には、1ヶ月後と3ヶ月後の傷跡の質感の臨床的改善(0~10段階)の盲検評価、局所皮膚反応(LSR)、視覚的アナログ尺度(VAS)による疼痛、経表皮水分喪失による皮膚の完全性の数値化、患者の満足度が含まれた。
結果:15人の患者が試験を完了し、試験部位の面積は中央値で24.6cm2(四分位範囲[IQR] 14.9-40.6)であった。AFLまたはMNRFによる単一治療は、3ヵ月間の追跡調査後、中央値で1ポイントの質感改善をもたらした(p < 0.001)。最も改善効果の高かった患者では、最大3ポイントの改善が見られた(n=3の試験部位、治療部位の10%)。2~4日後には、MNRFと比較してAFLの方が、紅斑および皮膚の統合性の喪失がより重度であった(p < 0.001)。患者は、MNRF(VAS 7.0)の方がAFL(5.5)よりも有意に痛みを伴うと報告した(p = 0.009)。患者は、両方の治療について、10段階評価で中央値6(四分位範囲5~7)と、全体的な結果に概ね満足しているようであった。
結論:AFLとMNRFの治療は、ニキビ跡のある皮膚の質感を改善する効果は同等である。AFLはより顕著なLSRをもたらしたが、MNRFはより痛みを伴うものであった。患者は全体的な結果に概ね満足しているようであった。
デンマークからの2023年の報告です。こちらの雑誌は2023 journal Impact factor 2.2となっています。
CO2フラクショナルレーザーはUltrapulse DeepFX および ActiveFx(Lumenis社)、高周波マイクロニードルデバイスとしてはGenius(Lutronic社)という機械が使われたようです。2025年現在の日本では高周波マイクロニードルデバイスとしては、ポテンツア(Jeisys社)が有名ですね。
意外にもニキビ跡治療に対してCO2フラクショナルレーザーがいいか、マイクロニードルラジオ波治療(例えばポテンツァ)がいいのか、比較した臨床研究はこの時点までなかったようです。
こちらの研究では、ニキビ跡治療は一回だけ行われて、その後3ヶ月間のフォローをされています。結果としては効果は同等だったということですが、副作用については、痛みはレーザー治療の方がマシ、色素沈着はニードル治療のほうがマシ、という結果のようです。
痛みを取るか、色素沈着を取るかということですが、デンマーク人(おそらく白人の方)でも色素沈着があったということなので、アジア人である我々は、この2つの選択肢ならニードル治療の方が向いていそうですね。
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