1726nmの新しいレーザーを用いた選択的光熱融解:尋常性ざ瘡に対する安全かつ効果的な治療
背景:皮脂腺に対する選択的光熱融解法は、尋常性ざ瘡(AV)の治療に有効な方法であるが、安全性、有効性、および不快感が臨床現場での利用を妨げている。
目的:主な目的は、接触冷却機能付きの新型1726nmレーザーの安全性と有効性を、尋常性ざ瘡の治療において評価することである。
方法:18歳から36歳までの17人の患者が登録され、単一施設によるオープンラベル試験で治療を受けた。患者は最大3回のレーザー治療を、最大7週間間隔で受けた。フォローアップは、セッション後10日目と最終セッション後4週間目および12週間目に行われた。 研究者らは、機器に関連する有害事象(AE)の重症度を評価した。 ニキビの改善と皮膚の状態の改善を評価する指標として、IGA(Investigator Global Assessment)とILC(inflammatory lesion counts)が用いられた。 患者の満足度と快適さについては、SEQ(Subject Experience Questionnaire)を用いて評価された。
結果:安全性評価では、軽度の一時的な有害事象が認められた。すべての被験者は麻酔薬を使用せず、治療による不快感の平均スコアは4.9±1.5だった。ベースラインと比較すると、治療後4~12週目にはILCが52~56%と統計的に有意に減少した(p = 0.003)。長期追跡調査では、治療後24ヶ月でILCが97%減少するなど、徐々に改善が見られた。SEQでは、治療後3ヶ月で心理社会的改善が見られ、被験者の71%が高い満足度を示した。
結論:1726nmの新しいレーザーは、軽度から重度のニキビの治療に安全かつ効果的であると思われます。ニキビの改善は治療後1ヶ月以内に明らかになり、その後も研究期間を超えて維持した。
2023 journal Impact factor 2.3の雑誌です。
ニキビに対する新しいレーザー治療が少し話題のようなので取り上げてみました。1726nmの波長の光は選択的に皮脂に吸収されるようで、それを利用した新しいニキビ治療のようです。文献サイトを調べてみるとこのレーザーに関する論文は2022年頃から出版されているので、比較的新しい技術だと思われます。使用機器は、Cutera社のAviClearという名前のレーザーです。
今回の研究は、安全性と有効性の検証が主な目的の臨床試験です。結果としては軽度の副作用はあるものの、ニキビの重症度は改善した患者が多かったようです。論文中では局所麻酔薬は使用していないとのことで、照射の痛みはそこまで強くないレーザー治療なのかもしれません。
コントロール群なしの単アーム試験になっていますので、他の治療(外用治療や内服治療など)と比べたときにどうなるのか、気になりますね。
検索する限り日本での施術価格を見ると、費用面では既存治療のほうに軍配が上がるかもしれませんが、何らかの理由で既存治療ができない方には新しい選択肢になるかもしれません。今後の検証を待ちたいと思います。
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